錬金術師入門

GURPS・魔法大全の<錬金術>は現実世界の“錬金術”っぽいもので、複雑で長い工程と貴重な材料が必要になり、PCにできるのはせいぜい鑑定か、材料のうちいくつかを確保する程度しかできない…と思われがちです。
しかし、もちろん、これはGURPSです。“錬金術師”のPCで遊べないわけはありません。ここでいくつかの方法をご紹介します。

091128修正:「霊薬作成」の修正率とCP

  • アプローチ

錬金術を簡便なものにするには、いくつかの方法があります。
まず1つは、その世界における錬金術のルール自体を単に簡略化してしまうことです。(これとこれとアレを混ぜてちょいと火にかけて…ハイ出来上がり!)錬金術のレシピは1つか数種類の材料だけを示し、調合の時間は短く一定のものになるでしょう。もしかすると難易度が加わるかもしれませんが、その程度です。運用は非常に簡単で、追加や変更もやはり簡単です。

2つ目は霊薬の精製を「霊薬を作り出す特徴」として獲得する方法です。「特殊効果」等の特徴に「遅発」「血液感染」などの修正をかけることで、誰かが飲んだ時に効果を発動する物質を作り出す性質を作ることができます。「トリガー」の限定で、霊薬の材料を消費するようにできます。これに「増強選択」や「選択攻撃」を使ったバリエーション付けや、「モジュール式能力」による組み換え等を行えば、さまざまな霊薬を作り出すことだできるでしょう。この方法では多少の計算が必要ですが、修正の追加変更によるカスタマイズが簡単で、多彩な錬金術のタイプを作り出すのに向いています。(記事の下の方にサンプルを掲載しました。)

もう1つはいくつかのルールの組み合わせで、調合の工程を簡易化する方法です。こちらは少々複雑になりますが、よく知られている霊薬のルールをそのまま用いることができます。以下、こちらの手法についていくつかのやり方をご紹介します。

  • まず「超発明家

「超発明家」は2日の作業を1分で行うことができます。普通に作ると3年はかかる「復活」の霊薬ですら、1日で仕上げてしまうことも可能です。大抵の場合は数十分でできてしまいます。これは錬金術を冒険中に使う場合、ほとんど必須の特徴といえるでしょう。錬金術に特化することで、CPを抑えられるかもしれません。

  • 謎のアイテム」を有効活用

材料や触媒が不足していても、この特徴があれば「持っていた」ことにできます。錬金術師の強い味方です。ちなみに買っていない霊薬の完成品を取り出す(=「作ってあった」ことにする)には−10の修正で<錬金術師>判定が必要ですが、「超発明家」ならこれは不要でしょう。

  • 体内練成!

THAUMATOLOGYで紹介されたこの手法は、原料を生物の体内で反応させることで霊薬を合成します。つまり材料を対象に注射したり飲ませたりすることで、結果的に霊薬の効果を発揮するように仕向けるわけです。この方法では霊薬を一服ずつしか作れませんが、必要な期間が「週」から「時間」になります。「超発明家」の比率を適用するなら、どんな霊薬も数秒で仕上げることができるでしょう。体内練成には−4の修正がありますが、<診断>、<医師>、または<生理学>を15レベル以上で習得しているなら、この修正を半分にできます。


おまけ


◇霊薬作成/治癒(+50%)[45CP]
 治療できる(自分に影響、+50%;生命力基準、+20%;遅発、条件発動、+50%;血液感染、−40%;トリガー、よくある、−20%;魔法、−10%)*1


特定の材料から、生物の傷を癒す効果がある霊薬を作り出します。この霊薬を飲んだり、注射されたりした者は、HT判定を行います。成功すると霊薬を摂取した者の傷や病気が治ります。どちらの効果を発揮するかは、作成時に決めておきます。それぞれの詳細については「治療できる」(B72)を読んでください。疲労が必要であれば、霊薬を摂取した者が消費します。能力の使い手は(自分が摂取しない限り)判定も疲労も不要です。この霊薬は、マナが少ない場所では効果が薄いか、まったく働きません。


◇修正:霊薬作成(−55%)
 白兵攻撃、C、受け不可、−35%;遅発、条件発動、+50%;血液感染、−40%;魔法、−10%;トリガー、よくある、−20%


 「特殊効果」のための修正です。特定の材料から霊薬を作り出します。霊薬を摂取したものは生命力判定を行いますが、敵対的な効果であればレベル−1をペナルティにした抵抗判定(成功したら効果なし)、友好的な効果であればレベル−1をボーナスにした成功判定(成功したら効果あり)となります。この霊薬は、マナが少ない場所では効果が薄いか、まったく働きません。
上記の修正率は、液体(飲ませたり武器に塗ったり注射したりできる)の霊薬です。粉薬の場合、「遅効」などを追加してください。煙薬の場合、「白兵攻撃」をはずして「範囲に効果」「浮遊」「放射」をつけるとよいと思われます。

*1:千魔万来とはまた違う修正の仕方になりました。POWERSでは「遅発」がなかったのですが、霊薬というオブジェクトを生成する効果がなさそうだったので追加してみました。これがないと接触契機の発動のみになってしまいそうな気がします。