加速減速についてもちょっと詳しく。

【原則:既存のルールに寄せる】

これはルールではありませんが、当然そうすべき原則です。新たなルールは新たな問題を招く可能性があります。もし既存ルールに問題があれば、SJGに知らせるのがよいでしょう。*1
従ってここでは、「新たな時間経過処理を追加する」のではなく、「既存の時間経過処理を利用する」事を考えます。ベーシックで時間経過の変化を扱うルールは「加速」「減速」にあります。問題が生じない限り、これが「現在のルール」の基本となるでしょう。*2

■ルールの適用

≪加速≫≪減速≫の呪文は範囲内の速度をn倍/n分の1倍にします。これは1段階の効果に付き「加速」「減速」を1レベル賦与するのと同じであり、「現在のルール」で片が付きますので、適切な処理と考えられます。

・行動順は変わらない。

行動順は基本速度によって決まります。時間の早さは行動順ごとの行動回数を0〜nに変化させますが、行動順そのものを変化させる事はありません。早い時間の流れに乗って機先を制するには「超反射神経」等の特徴が必要で、さもなければ、あなたの感覚は異常な時間の流れに対応し切れていないのだと考える事ができるでしょう。*3
攻撃・防御・その他ほとんどの行動について、同じ事が言えます。

■重複時の処理

これはいくつかのパターンが考えられます。

A.どちらかが打ち消される

≪加速≫≪減速≫は「逆の効果」を持つ呪文です。 従って同じ場所にかけようとした場合、いずれかが打ち消されると考える事が出来ます。どちらが消えるかは、成功度の比較によって決められるでしょう。
この考え方は自然で簡潔な処理を導きます。ただしこれは類推的な判定であって、そういうルールになっているかというと、必ずしもそうとはいえません。また、呪文以外で同等の効果が発生することも考えられますので、一般化できません。

B.結果を掛ける

呪文の効果は打ち消されず、両方が有効になると考える事も出来ます。これは効果の倍率を個別に適用し、産出された数値で最終的な倍率を決定する方法です。
例えば、3倍速の≪加速≫と4分の1倍速の≪減速≫の範囲が重なった場合、そこの時間は4分の3倍速で流れる事になります。
この考え方は、呪文の説明を直接的に適用するものです。しかしながら、4分の3倍速などといった時間を管理するのは困難で、「現在のルール」の上でも扱えません。

C.効果を足す

Bと同じ考え方ですが、倍率をかけるのではなく、倍率への修正を足します。
つまり、3倍速の≪加速≫と4分の1倍速の≪減速≫の範囲が重なった場合、範囲内に与えられる効果は2レベルの「加速」と、3レベルの「減速」です。これらが重複した場合の効果は「レベルを相殺」し、最終的な効果は1レベルの「減速」となります。
これはとてもシンプルな考え方で、「現在のルール」にも合致します。

■効果の異なる範囲間を移動する(行動順の途中で時間の流れが変わる)

これは少々面倒な事になります(状況が面倒なので仕方がありません)…しかしながら、面倒であるという点以外の問題はありません。
ルール上、1回の行動はあくまで1回分の行動です。「加速」「減速」はある行動順に行動可能な回数を増減しますが、行動そのものには影響を与えません。仮に、行動の途中で効果の段階が変化したとしても、です。

注意すべき点はひとつか、せいぜい二つでしょう。

・あとどれだけの時間が使えるか。

キャラクターの「行動の回数」を決めるのは、彼が行動を始めようとする時点です。(他にそうすべきタイミングがあるでしょうか?)その際の時間の流れによって、次の行動における「彼にとっての次の1秒」が、「通常の1秒」に対してどれだけの長さがあるのかわかります。
もし「通常の1秒」が経過する前に「彼にとっての1秒」が終わらないのであれば、その行動順は終了となります。十分な時間が残されていれば、彼はもう一度行動できます。そして、使用した時間をカウントして置いてください。(次以降の行動が可能であるか判断する時に参照するため。)

もし、更なる困難との闘いを望むのであれば、時間の端数(使われなかった時間)を延々引き継いで、ずれた時間の影響を受けながら、行動ごとにあとどれだけ動けるのか計算し続ける事もできます。しかしそうでない場合は、あるターンの時間についてはそのターンが終わったら忘れてしまうのがいいでしょう。(要するに、端数切捨てです。)

・通過する範囲の距離と時間の早さ。

異なる時間が流れる場所を通る場合、その範囲での移動は明らかに時間の早さの影響を受けます。その場所を通過するのに必要な移動力に、その場所の時間の倍率をかけることで、その影響を表現する事ができます。

*1:執筆ガイドラインなどにそう書いてありますね。

*2:参照が不便な事は否めませんが、すぐに見つける事ができるでしょう。「個別のケース」についてのルールが「そのケースを引き起こす性質に付随している」だろう事は、簡単に推測できます。

*3:「加速」「減速」のレベルに応じた修正を与えるようなデータ/ルールを追加する事は、考えてみてもいいかもしれません。しかし現時点では、「そのような効果はない」ということだけが言えます。